ある日の本屋
しごと帰りに、とても嬉しいコミュニケーションをもらった。
嬉しい。とても嬉しい。
寒くて暗い、1月19日。
なんでもない、金曜日だけど飲み会もなにもない、平凡な日。
なんなら仕事でちょっとざわざわした、ブルーな気分も入り混じる日。
だけれども、小さな小さなコミュニケーションのおかげで、今はるんるんだ。
***
仕事が終わって、「お先に失礼します」と事務所を出た。
外に出ると雨のにおい。でも降っていなかった。
ラッキー。朝傘を持って出なかったのは正解だったか。
横断歩道にさしかかる。11月に私が本を置き始めた本屋が見える。
あー、そういえば文進堂、行かなきゃなあ。
お正月に、かなり本気で、なんかやりたいと思ったのだった。この本屋で。
でもなんだかんだで、頭の中の妄想は進むも、日々の予定をこなすのに追われて、行けていなかった。
どうやって始めればいいかなー。アイデアはいくつかあるものの、これだ!となるきっかけがなく、いつもそこで終わってしまう。
というのも、こちらの本屋、しばらく居座れる場所がないのだ。
なので、店主の五十嵐さんと立ち話をして、話題が尽きると帰るしかない。
もちろん、本を見ることもできる。
でも置いてある本は申し訳ないけれど、私はあまり興味のない本が多い。
…よしいくか。
迷ったが行くことにした。横断歩道からは、20秒もかからずに着く。
入口からいつも店主さんの背中が見える。
今日はグレーの三角帽をかぶっていた。
「かわいい」思わずつぶやきながら自動ドアで中に入る。
すぐに振り返った五十嵐さん。
「おーう」「こんばんは。あけましておめでとうございます」
「そういえば、2冊売れたんだよ!」
待っていたかのように言われた。
「ほんとですか!」誰だろう、ツルハシ関係の誰かかな。
すたたた、と私の棚へ行く。
誰でも書き込めるノートを置いてあった。開いてみると…
と年配の方かな?と思うような字でメッセージが書いてあった。
うわあ、なんだこれ。めっちゃ嬉しい。
「それ、いいねえ」
と五十嵐さんも言ってくれた。
その後は少し最近のことや、店内に置いてある本のこと、他の人も棚に古本を置いたらいいね、というような話をして、18時半の閉店時間になって店を出た。
滞在時間、実にたった10分。
だけど、すごい元気をもらったのはなんでなんだろう。
なんかわからないけれど、今日、確信した。
「五十嵐さんの」本屋だからやりたい。
この人は、少し不器用だろうしなかなかやりたくてもできないことがあるんだろうけど、
とても謙虚で、優しい。夢もある。
発信がうまくて、わかりやすくて、まっすぐに全力でできる人もいるけれど、
私が一緒にやる人はそういう人じゃない。
まだまだやり方はわからないけれど、少しずつこのことに時間を使っていこうと思いました。
本屋の中の一棚で山口県の人とコミュニケーションできたのも最高にうれしかった。
いやー、高校生と、やりたい。
高校生が屋台できる本屋、やりたい人だれかいないかーー
昨日行った、イロハニ堂の本棚。ここにも素敵なコミュニケーション。