「一緒につくる」という道
書きたいことはいっぱいありましたが、なんだか書きあぐねていたここ最近。
最近は、イナカレッジの仕事以外でやりたいことやこれからのことにたくさん頭を使っていたような気がします。
一昨日登壇したイベントで、「学生や地域のサポートをしている井上さんですが、井上さん自身の夢や今後は何を考えていますか」という質問が出て、うまく答えられなかったのは、それを考えてないからではなく、考えすぎているからでした。
そもそも私がなにもなくてゼロからやりたいということはないですが、依頼がないけどやりたいことは増えてきています。
その中の一つが、やっぱり「本屋」あるいは「本屋的なもの」。
そのことが頭をよぎっていた10月、なんと意外にも実家のお母さんから「これ興味あるなら申し込むよ?」というLINEが来ました。
それが、10月27日に開催された、神保町ブックフェスティバル内の「出版産業シンポジウム」で行われたトークイベント「本屋を開業する」。
行きたかった本屋titleの店主辻山さん、さわや書店の田口さん、HABookstoreの松井さんという豪華なメンバーでの対談です。
勉強になる話盛沢山だったんですが、あえて何点かを抽出して考えたことを書いてみます。
1.本屋の役割
ゲストである田口さん、辻山さんはどちらも、お金を稼ぐ手段というのではない、「本屋の役割」を強く意識して活動されていました。
田口さんは、もはや町の社会福祉的な立ち位置としての本屋、辻山さんは、たくさんの本を知る中で良い本を選んできちんと伝えるという意味での個人本屋。
どちらも強く必要性を感じているんだと思います。
個人的には辻山さんの、「今ここにある本は氷山の一角だと身をもって知っているということ」という話が面白かった。以前規模の大きい書店で書店員をやっていたことが生きているそう。
「選んでいない本もどこかで知っていないといけない」
最近増えている個人本屋も、「好きそうな本」ばかりになってしまうと意味がない。アマゾンみたいに、「関連商品」が出て来るだけであれば、2回目3回目は行かない、と。
私はこれを、「本屋では違う世界への扉が開かれている」ことが重要なのかなと解釈しました。多様性の担保というか、同じ価値感に閉じていかないというか。
私が本に没頭して通っていたのは、中学校の図書館。そこには、伝記も文学も小説も図鑑もありました。あの、ばらばらな感じは実は、様々な世界への扉を開いていたのだと思う。
まずは本がある空間にするだけでも良いけど、「本屋」にするなら多様性が必要だと思いました。
2.一緒にお店をつくるということ
こっちが本題。笑
辻山さんがしていた話で、titleはカフェとギャラリーもやっているという話になったときのこと。
「ギャラリーを使ってもらう人は、こちらから声をかけるのと向こうから言ってくるのの割合は、半々です」
つまり、「場所代を公開して誰でも使っていいよ」というわけではないということ。
「お互いがここでやりたい・この人とやりたいって思わないと、この店がやりたいことはお客さんに伝わらない」
「一緒にお店をつくる意識なんですよね」
ここ、めちゃくちゃ共感。ちょうど、私が使っている物件のギャラリーでも同じことを感じていました。
これは結構いろいろなことにあてはまると思っていて。
特に、「インフラ的に必要不可欠」「設備や技術や労働に対してお金を払う場合」ではない、プロジェクトや場の運営や仕事や人間関係において、「一緒につくる」という意識をどこまで作れるかが大事だと思います。
「ウィンウィン」という言葉があまりしっくりきません。
「お互いがやりたいこと」がどちらもやれて、どちらかが何かを「提供する」か「提供される」側になって、…一見良さそうな感じがするけれど、結局自分の「損具合」「得具合」をなんとなく測って、判断している感じ。それを「とりあえずみんなハッピーだからいいよね」って言われてる感じ(ひねくれ)。
もちろんそうやって測らなければ自分が傷ついたりすることがあるのであれば、仕方ない。けれど、ちょっとでもそんな可能性がある相手や事柄なら、そもそも距離をとって関わらない方がいいのです。
せっかくやるなら、「完全に自分本位」でも「相手の要望に応える」でもなく、「一緒につくる」という第三の道のことを、できる限り考えたいです。
だってその方が、様々なものを超えられると思うから。予測不可能なことにも向かって行けそうな気がするから。
いちいち行動ひとつひとつの損得を考える相手とは、なるべく安全なやり方にしか向かえない気がします。
この「一緒に未来に向かう」「一緒に価値だと思うものに向かう」が共有できる人たちと、人生を楽しんでいきたいなと思いました。
あれ、途中からイベントの感想でもなんでもないや笑
でもとにかく、私の仕事以外の今後の妄想はふくらむばかり…笑
またちらりとお見せしたいなと思います。
ちなみに、この次の日にtitleに行って買った本「彼岸の図書館」がめちゃくちゃに良かったので、またそのことで書こうかな。
(当日のメモ、解読むずい笑)