安心感と好奇心
最近も、脳内哲学対話を繰り広げている井上です。哲学対話とは、何人かであるテーマについて「なぜ?」「そもそも○○とは?」を深掘りする対話のこと。先日哲学対話×筆談のイベントに出て、とても面白かったです。
「答えがたくさんある問いの話」をぐるぐるするのが大好きなので、最近はそういうことができる友達とばかりつるんでいます。これはこれでコミュニティを狭めているのかな…
そんなわけで、最近私の中でテーマになったキーワードについて書きます。
上に書いた、「答えがないこと」も関連する話かな。
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「好奇心」。または、「知的好奇心」。
現代、そしてこれからの時代を切り抜ける上で、とても大切になるものだと思う。
Wikipediaには、「物事を探求しようとする根源的な心」とある。
知らないことを知る喜び、あるいは、体験したことのない体験をする喜び。
好奇心が強いタイプの私からすると、大げさに言えば、生きていくための原動力だ。
気のせいかもしれないけれど、おじいちゃんになっても生き生きしている人は好奇心が強い人なような気がする。
最近、中田敦彦のYouTube大学にハマっている。少し前から話題だったけれど、おすすめされていたこともあって、そういえばとふと開いてみたら、面白くて見続けてしまった。
歴史や文学について、教科書で一度聞いたことのあるようなものを取り扱い、ホワイトボードの前で解説している動画なんだけれど、あっちゃんの話術もあってか、全然飽きない。
これのすごいところは、「知るの楽しい」「もっと知りたい」という気持ちにさせることである。何より、あっちゃん自身が楽しそうだ。
文学にしても、歴史にしても、「今の自分達」につなげる話を忘れず、かつ「これが答えだ」とは言わずに、「いろんな説があるんだよ、あくまで俺はこう解釈した」と言う。(登場人物になりきってしゃべるのに笑っちゃうのは芸人ならではとして)
塾で講師をしていたとき、一番大切なことは「この勉強おもしろい」と思わせることだとずっと実感していた。その土台ができてしまえば、あとはどんな子も自分から進めることができる。
「範囲の進め方」「ドリルのこなし方」「単語の覚え方」だけ教えていても、「好奇心」の土台がなければ、本当に表面をなでるだけだった。
すべての教科で、数年の間にそうなることはなかなか難しいから、結局無理矢理暗記して大学受験の時期に合わせるんだけどね。
私は学校での勉強としては、理系分野が好きだった。どうしても、文学や歴史を心から楽しんだことがなかった。だからこそ、大人になってこういう動画で面白い、と思えると、私にも歴史が楽しめるんだと嬉しい。
で、何の話だっけ。
そうそう、本や過去の中の世界だけじゃなく、現実に起こることに対しても好奇心があると生きやすいということ。
好奇心があると、わりとなんでも「学び」に思えるから、失敗も成功も、「学べた喜び」に置き換わってしまう。
好奇心があると、「もっとこうしたらどうなるかな」「ここに行ったら、この人に聞いたら、知れるかな」が自分の中から湧いてくるので、自然と自発的になる。能動的になる。
ではどうやったら、まわりの目を気にしたり、誰かと比べたりしないで、好奇心を発動させることができるのだろう。
好奇心があることと、それを素直に出したり行動に移せたりするのは別問題だ。
そこで私は、「安心感」が大切だと思っている。
先日参加した「未来言語」というワークショップでも、「コミュニケーションの土台は安心感だ」という話が出ていた。
「主体性の創出」
「行動・挑戦する人を育成しよう」
「個性や能力を最大に引き出す」
というような言葉をよく目にするけれど、これらはすべて、
「ここでは自分を出してもいいんだ(自分が感じたことを言ったりしたいことをしていいんだ、もしくはしなくてもいいんだ)」という「安心感」がないとなかなか表には出てこないと私は思う。
じゃあ何が「安心感」なのか。それは受け取る人によって違うからわからない。
でも、工夫はできる。安心を生む工夫。そして、姿勢。
もちろん「気心知れた相手」に対しては安心しやすいけれど、それ以外でも安心感を生む工夫は様々なところにある。
そして強調したいのは、立場や年齢的に、上→下へのコミュニケーションにおいて、本当にささいなことが圧力やプレッシャーになるということ。
自分にも言い聞かせているけれど、言葉だけではない、表情や空気、声、…様々なものが相手に威圧感を与えることがある。
圧力を感じた側は、なかなかそこから「自らこうしよう」「これをしたい」という気持ちにならない。「主体性」からどんどん遠のいていく。
圧力ある環境でも行動するべきだ、精神が弱すぎる、という意見は無視しておこう。
圧力のある環境だから何かが鍛えられる・成長する、ということは、意外とないんじゃないかと私は思っている。たまに、そういう人種がいるだけで笑
圧力で成長する可能性より、圧力で心を閉じてしまう怖さの方が、私にとっては大きい。「素敵な感性」を圧力のせいで見たり聞いたりできないのは辛い。
だったら基本的に圧力なんてない方がいい、と思う。
少し話はそれてしまったけれど、地域インターンを通して、自分なりの安心感と好奇心を得られるようになってほしいんだよな、たぶん。
「自分の安心感」「他人に与える安心感」に敏感であること、
自分の好奇心を育てたり開放したりすること。
そんなふうになれる人が増えたらいいなあ。
(料理するのも、まずは好奇心。揚げ浸し×すだち、美味しかった)